序文
私は、アウトソーシングで、化学研究所に派遣されています。業務内容は詳しくはのべられませんが、大腸菌やブドウ球菌といった細菌類を使った微生物試験をしております。その際に使用用途として一番多いのが、消毒用アルコールです。微生物試験をやるには安全キャビネットやクリーンベンチといった中で無菌操作を行う必要があり、その際に滅菌シャーレやオートクレーブで滅菌した三角フラスコなどを無菌的に安全キャビネットに入れるためにアルコールで消毒します。
これらの化学研究所で使用する危険物。また新型コロナウイルスの対策として、手を消毒する際に使用する消毒用アルコール、ガソリンスタンドの給油など、危険物を扱う場面は私の中で増えてきています。しかし、危険物や毒物のの基礎知識を持っていないと痛い目に合う事もあります。そこで、就職や転職などで履歴書に記入してアピールするだけでなく、実際に危険物を取り扱う事が出来るようになっている事が重要と考えています。
危険物取扱者のメリット
危険物取扱者のメリットは、先ほど述べたように、就職や転職で危険物を扱う資格がある場合には、仕事の幅が増えます。また消防法で定められた規定量を超える危険物を製造・貯蔵・取り扱う施設では、危険物取扱者の「配置義務」があります。そのため、こういった施設を管理する企業では危険物取扱者の有資格者を必要としています。
国家資格の中では取りやすい資格となっており、化学や物理の知識が必要とされる資格なので、理系の人は割と理解しやすいと思います。一番時間がかかるのが法規です。
有資格者には、資格手当として数千円を貰えるところもあります。また、資格を取って欲しい為、資格の補助が出るケースもあります。
危険物取扱者
甲乙丙種の違い
甲種
甲種では第1類~第6類の危険物全てを取り扱うことができます。加えて、危険物取扱者としての実務を6カ月以上経験すると、「危険物保安監督者」になることもできます。
この危険物保安監督者は、危険物を取り扱う施設ならどこの施設でも必要だというけではなく、主に製造所、屋外タンク貯蔵所、給油取扱所、移送取扱所、一般取扱所などで危険物保安監督者の設置が必要とされています。
乙種
乙種では第1類~第6類の中で、試験に合格し資格を取得できた類(の危険物)のみ取り扱うことができます。
丙種
丙種では取り扱える危険物が、ガソリン・灯油・重油・軽油・潤滑油・引火点130℃以上の第3石油類・第4石油類、動植物油類のみと限定されています。
乙種の危険物の種類
乙種の免状の種類 | 取り扱う事が出来る危険物 |
第1類 | 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体 |
第2類 | 硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体などの可燃性固体 |
第3類 | カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんなどの自然発火性物質及び禁水性物質 |
第4類 | ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類などの引火性液体 |
第5類 | 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンなどの自己反応性物質 |
第6類 | 過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物などの酸化性液体 |
危険物取扱者 甲乙丙種試験内容の違い
対象者 | 大学等及び資格詳細 | 願書資格欄記入略称 | 証明書類 |
〔1〕 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者 | 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、高等学校の専攻科、中等教育学校の専攻科、防衛大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等 | 大学等卒 | 卒業証明書又は卒業証書(学科等の名称が明記されているもの) |
〔2〕 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者 | 大学、短期大学、高等専門学校(高等専門学校にあっては専門科目に限る)、大学院、専修学校、大学、短期大学、高等専門学校の専攻科、 防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、 職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等 | 15単位 | 単位修得証明書又は成績証明書(修得単位が明記されているもの) |
〔3〕 乙種危険物取扱者免状を有する者 | 乙種危険物取扱者免状の交付を受けた後、危険物製造所等における危険物取扱いの実務経験が2年以上の者 | 実務2年 | 乙種危険物取扱者免状 及び乙種危険物取扱実務経験証明書 |
〔3〕 乙種危険物取扱者免状を有する者 | 次の4種類以上の乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者 〇第1類又は第6類 〇第2類又は第4類 〇第3類 〇第5類 | 4種類 | 乙種危険物取扱者免状 |
〔4〕修士・博士の学位を有する者 | 修士、博士の学位を授与された者で、化学に関する事項を専攻したもの(外国の同学位も含む。) | 学位 | 学位記等(専攻等の名称が明記されているもの) |
各試験科目と問題数
種類 | 試験科目 | 問題数 |
甲種 | 危険物に関する法令 | 15 |
甲種 | 物理学及び化学 | 10 |
甲種 | 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 20 |
乙種 | 危険物に関する法令 | 15 |
乙種 | 基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10 |
乙種 | 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10 |
丙種 | 危険物に関する法令 | 10 |
丙種 | 燃焼及び消火に関する基礎知識 | 5 |
丙種 | 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10 |
※「他の類の危険物取扱者」、「火薬類製造保安責任者」、「火薬類取扱保安責任者」などの資格を持つ場合、又は消防団員として5年以上勤務し消防学校で所定の教育を修了している場合は、試験の一部免除がありますので最寄りの当センター各支部等へお問い合わせください。
まとめ
危険物取扱者は、配置義務があるので必ず企業に置かないといけない人材でもある。そういう意味で転職や就職を考えている際に、免状を利用する事も考えておきましょう。甲乙でいけば、確実に簡単なのは乙4なので、是非取得していない方は乙4から取られる事をおすすめします。

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