クラフトビールの一次発酵中に、発酵容器の水面にカビが生えてない??

発酵容器の中にうっすらカビ?
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序文

クラフトビールを上手に作ろうと思ったのにカビが薄っすら発酵容器の中で見られたり、壁面にカビが見える場合は、発酵容器や鍋など使う物の殺菌がしっかりやっていない可能性があります。もし、78%の消毒用アルコールが無い場合、無水アルコールを使って殺菌する方法もあります。無水アルコールが手に入らない場合、消毒用アルコールの代わりになるお酒のスピリタスを使います。しかし、化学者では無い人が無水エタノール(99%)を単純に水道水で薄めれば出来るんでしょ?と言う人がいます。私も大学生の時はそうでした。ではどうやって作っていけばよいのでしょうか??これから説明していきます。ちなみに消毒用アルコールとして売られていても50%を切るような物まで売られていますが、ほとんど消毒として意味がないので注意してください。また燃料用アルコールも売られていますが、エタノールではないので間違えないようにしてください。さらに塩化ベンザルコニウムも売っていました。こちらは逆性石鹸と言って、例えば石鹸を皮膚にくっつけると、その菌が皮膚に付着して落ちないようにしてくれます。なので医薬品を無菌操作して扱ったり、お医者様が患者様を見る時に、塩化ベンザルコニウムを薄めた液に手を通してから、診てくれます。そういった環境でなければなかなか使わないと思います。

白カビの顕微鏡写真

この写真は、カビの例として載せています。マイクロスコープ(サンワサプライ LPE-07W)を使って白カビチーズの断片を拡大した物です。手軽な価格とパソコンにつなげて専用のソフトをインストールするだけで、LPE-07Wは、静止画や動画を簡単に撮る事が出来ます。そしてチーズの端っこですが、菌糸(白い部分で糸ふけのようになっている部分)がびっしりになっている事が分かると思います。このように目視では分からない部分でもカビが広がっている事が分かると思います。このようにクラフトビールでもカビが生えてしまって、お玉ですくおうとすると、かえって水流によってカビがばらけて、大部分を取り除いても散らばっている可能性があります。そしてカビを食べると体調を壊す可能性があります。それならこの写真のように最初からカビが生えたチーズは大丈夫??となるかもしれませんが、特に青カビチーズなどは乳製品と反応する事でカビの毒素を中和する働きがあるそうです。そのかわり、そのアオカビだけを培養して食べるのはアウトです。必ず乳製品の中で食べないと中毒になって体を壊すそうです。

クラフトビールのカビ対策にアルコール除菌濃度は?

消毒用アルコールの作製イメージ

まずは消毒用アルコールの原理について説明してきます。これに関してはいくつか考え方があると思いますが、その中で私の研究室の仲間と相談して結論に至ったのを下記に書きます。それはエタノールと水の分子の大きさが違います。エタノールの分子はC2H5OH、水の分子はH2Oですよね。ということはこの2つの物質はよく混ざるので、例えばメスシリンダーに水を最初に入れて、その後にエタノールを入れるか、エタノールを入れた後に水を入れれば良いと考えるかもしれません。でもこの方法では正しい濃度にする事が出来ません。例えのイメージとしては、バケツにゴルフボールとバスケットボールの二つのボールを入れたとしましょう。そうすると当然大きさの違うボールが混ざるので、バスケットボールは1個入れた周りにゴルフボールが埋めていく形になると考えられます。これでバケツがいっぱいになってしまいます。なので化学者が消毒用アルコールを作るときは、メスシリンダーを2本にビーカーを1個用意して作ります。無水エタノールのみのメスシリンダーと水道水のみのメスシリンダーを作りそれぞれ水とエタノールを別に入れます。その上でビーカーにメスシリンダーで各々量り取った水道水と無水エタノールを入れます。この方法が正解なのです。つまり無水エタノールならメスシリンダーに80ml、別のメスシリンダーに水道水を20ml入れて、混ぜればよいのです。ご家庭ではそうはいかないので、計量カップで2回測ればよいのです。

コロナ禍でも作り方を紹介していた方法は??

ちなみにスピリタスは無水エタノールで出来ています。なのでこれを上記の方法で薄めて使用ください。逆に99%のアルコールや50%以下のアルコール濃度の物は、消毒に適さないので、購入する際や扱う際にも注意してください。それから消毒用アルコールの適正は、75%~80%以内にしてください。宜しくお願いします。

スピリタス(ウォッカ)96%のアルコールを消毒用アルコールに薄めるには、80mlのアルコールに対し水20mlを入れればおよそ80%になります。よって全量は100mlになります。

こちらのアナーキーは、82%となっているので調製は不要です。

現在2021年4月現在では、消毒用アルコールも手に入るためこちらからも購入する事が出来ます。

素人がやりがちな注意点

例えば自宅に入る時に、玄関の扉の前で消毒用アルコールを手に付けてドアを開けて入ると思うんですよね。しかし、微生物のかじってる人は、一緒にスマートフォンやカギを消毒します。特にスマートフォンは、指紋も付きやすく餌になる脂質なんかもくっつくので、微生物にはとっても増殖しやすい環境が整っています。

このようにクラフトビールを作る際も使う物を全て、消毒する必要があります。

無菌操作

安全キャビネットの無菌作業

ちなみにクラフトビールを作る際に、安全キャビネットなどを使う人はいないと思いますが、プロはここまでやっていますよと言う事の例として紹介します。

微生物の研究者は、無菌操作をする時、安全キャビネットで作業をします。この時の無菌操作は、新型コロナウイルスの対策や病院の手術などの施術の際、ワクチンや食料品の研究や化粧品など、さまざまにこの技術が使われます。私の場合は、上のイラストのように安全キャビネットという装置を使い操作をします。安全キャビネット内はクリーンになっており、外から中にビーカーやピンセット、試験管などを入れる時は、アルミホイルで包んで、事前にオートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、その熱をかけたビーカーなどをアルコールや塩化ベンザルコニウムを使って滅菌したり、菌を飛ばないようにして安全キャビネットの中に入れます。そして作業する格好も2次更衣室でエプロンなどを作業着の上に着て作業します。手袋をし、エタノールや塩化ベンザルコニウムで手を殺菌しながら、中で作業をします。この時に、何か別なところに触ったり、大腸菌やブドウ球菌などを扱った後は、その都度消毒をします。また使った後の廃棄物もオートクレーブ(121℃、20分)で殺菌し、自治体に合った処分の仕方をします。このように一連の操作を無菌操作はします。そしてこれらをしている人達は、新型コロナウイルスに比較的に罹らないようにする方法を学んで身に着けています。

まとめ

スピリタスなどの高濃度のお酒から消毒用アルコールに薄めるには、それぞれ別の容器にスピリタスと水を測り、その既定量を混合するさらに別な入れ物に入れてください。そうすればちゃんと80%アルコールを調製する事が出来ます。さらにカビが増殖しないように使う物は必ず殺菌してから使うようにしてください。

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